個人再生と特定調停は、裁判所に申し立てをして、債務整理が行われるということ、債権者が強硬に債務整理を認めないようなら、決裂する可能性もあるという点では共通していますし、裁判所判決により債務整理が認められた場合には、決められた期間内に定期的に返済をするということも同様です。
しかし、手続きの仕方や、借金を軽減できる方法に違いが見られます。

特定調停に似た債務整理方法に、任意整理があります。

任意整理の場合は、弁護士や司法書士に代理交渉を依頼して、返済の軽減を私的に解決する方法ですが、特定調停の場合は、弁護士や司法書士の代わりに、裁判所で選定された調停委員が交渉してくれると考えると分かりやすいでしょう。
法律事務所に委託しなくても、債務者が独力で手続きできますし、費用が比較的かかりませんので、報酬料金の支払いが難しい債務者に用いられることがあります。

手続きをするには、地域の簡易裁判所に申し立てをして、裁判官が調停委員を選定して債務者と債権者の両名から事情を聞きます。
申し立てと同時に、強制執行の差し止めや、督促を停止させることも可能になります。
調停委員は双方の話を聞き、民事調停を行い、解決方法を探ることになります。
元金部分を減額してもらうのは非常に難しいので、利息制限法による上限利息が守られなかった場合に、過払い金を債務の残高に充てたり、将来発生するであろう利息を話し合いで帳消しにしてもらえたりして、借金の残高を軽減させます。
その代わりに、月々規定の金額を支払い、決められた回数や期間に支払うようになります。
だいたい3年間くらいに設定されることが多いです。

個人再生の場合は、債務者の住所地のある地方裁判所に申し立てをして行われます。
申し立てで、強制執行や督促が止められるのも特定調停と同様です。
利息制限法による上限利息が守られなかった場合には同様の措置を取り、残った借金は、住宅ローンについては、債務整理をすることはできませんが、他の借金については、元金を含めて5分の1まで圧縮することが可能です。
債権者の全てが同意する必要がありますし、債務者も預金の積み立てをするなど、お金の管理を正確に行うように取り組む必要があります。
裁判所判決で個人再生の認可が下りれば、一連の手続きが済み、認可を受けた際に計画書を提出した通りに返済していきます。
通常は3年で返済するようになりますが、減収や病気等の事情で、返済するのが難しくなった場合は、早めの申し立てをして、5年まで支払期間を延長してもらうことも可能となります。
特定調停に比べて、法律事務所への報酬料金や手続きの費用がかかることがあります。